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◇◇◇◇◇生徒会長 不動 千暁
思い出すのはーーー、涙。いっぱいの涙を堪え、それでも我慢出来ないそれが白い頬に筋を作って落ちていく。伝えたい想いを言葉に出来ず、表情の乏しさから見えない心が。代わりに、と流れた
綺麗だ……
表すに相応しい言葉も見つからず、純粋にそう思った
「ーーーったく、なんだってんだ…」
手放しかけた意識がまた、ぼんやりと目覚める感覚にうんざりしながら目を開ける。暗い室内はまだまだ夜の闇の中なのに自分ひとり、その中から弾き出されてしまった
だったら寝なきゃいいだけの話だーーー。身体を起こし真っ直ぐバスルームに向かい熱いシャワーを浴びれば幾分気持ちもスッキリする。もうすぐ午前4時。時間が早ければ親衛隊の…、誰でもいい。見た目がいいヤツでも呼び出してーーー
「………ッチ、マジふざけんな」
浮かんだ顔を掻き消すようにガシガシと頭を掻いてーーー、ベッドになだれ込めばスプリングに跳ねた身体が心地良く沈んで。疲労を訴える身体は腕も指さえ動かしたくない程、なのにーーー
目を閉じれば現れるその姿は今夜も眠ることを許してくれないまま
「…何で、今更…過ぎるだろ?」
『おれ…、うれ、し…。ずっと…、あい、た…かった。キヨ、が…すき、だ…』
『会うのが怖くて、ーーーでも会えて本当に良かった。大切にしたいんです、彼のことを』
俺はどうしたい?あれほど会いたくて…、忘れてしまいたいほど憎い、あいつをーーー…
明け方近く、漸く訪れた眠りに思考が途切れる。これでいい、どうせ答えなど出ないのだから
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