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俺は困惑していた。
俺は今、自分が置かれている状況を全く理解していない。 にも関わらず、間違いなく面倒ごとに巻き込まれた、と言う確信めいた予感だけは即座に頭に浮かんでいた。
俺が今いるのは、どことなく学校の体育館を思わせる、だだっ広い
何かの建物の中だ。 人を集めても優に五百人以上の人間を、ゆとりを持って集められるだけの広さがあるだろう。
そんな広く、そして床も壁も天井も白い空間にいるのは、俺だけではなかった。
だいたい四十人程だろうか。 男子も女子も、皆似たような衣服──と言うか制服?──を身に纏った、俺とほぼ同年代程度の少年少女たちが、立ち位置こそ疎らだが全方位から俺の事を注視していた。
さらにそのほとんどが、傍らに明らかに普通の動物ではない獣のような生き物を従えている。 その生き物たちもまた、俺を観察するように見据えている。
……俺は一体何に巻き込まれたんだ……?
俺──藍藤竜哉は、身に降りかかった不幸を嘆くように天井を仰ぎ、深い深い溜息を吐いた。
そして考える、どうしてこうなったのかを。 自分が直前まで何をしていたのかを。
こんな状況に置かれる数分前まで、俺は普段通りに生活していたのだ──
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