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その日も、青年は殺された。工事用の金槌で頭を殴られ。
青年を殺した中年の男は駆け足で、その場から逃げ去る。だが、遠くまで中年の男は逃げなかった。青年の姿が見える範囲で、物陰に隠れて青年の様子を見ていた。
頭を叩き割られた青年は吐息を吐きながら、その身体を起こしているのを中年の男がしっかりと目撃した。あれだけの出血をしたのに、傷口がもう完治している青年の姿を。
「私の力、理解していただけたか?」
「ああ・・・。素晴らしい力だ。まさか、悪魔が本当にいるなんて信じられなかったが・・・。あの男を不老不死にしたのは、お前の
力なんだろう?」
中年の男は興奮した様子で、青年に魔法をかけた悪魔に聞く。悪魔は悪魔らしい笑みを浮かべて言う。
「今の世の中、普通の方法では信用してもらえない。私が悪魔と名乗ったところで、誰も信用してくれない。頭がおかしな奴だと思われる。力を見せつけたところで、何かしらと理由をつけて否定しようとする。私の力が、本物であることを理解してもらう為には、こうした宣伝になっていただける方が必要ですから」
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