現代の悪魔

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「私を喚んだのはお前か?」  姿を現した悪魔が目の前にいた青年に訪ねる。実際に、悪魔を目の前にして、驚き尻餅をついてしまった青年は、そのままの状態で頷き、 「そうだ。俺が、お前を喚んだ。まさか、本当に悪魔を召喚できるとは」 「悪魔というものは存在する。人々が神という存在を信じ、具現化するよう考えるのならば、悪魔も同じだ。こうして、お前の前に現れた。それより、お前は望みがあって、私を喚びだしたのだろう」 「そうだった。だが、悪魔といえば、定番の魂を譲れというのがあるだろう」  青年には願いがある。不老不死で金持ちになって、女を好きなだけ抱けるという贅沢で下らない願いだ。だが、その願いを叶えてもらおうにも、不老不死は厳しいだろう。そんなのを認めたら、悪魔は損する一方だ。 「確かに、悪魔との契約を結ぶからには、魂はいただくのが定番だ。しかし、今回はやめておこう。何のリスクも無しに、お前の願いを叶えてやろう」 「それは、本当か?」 「悪魔であるが、嘘はつかない。いい加減なことはしない。ちゃんと、お前が願っていることを叶えてやろう」  青年にしてみれば、願ってもいない話だ。何のリスクも背負わずに、願いを叶えてくれるというのだ。 「だったら、話は早い。早速だが、俺を不老不死にしてくれ、それと金は毎日・・・そうだな、宝石や貴金属で頼む。換金に時間はかかるが、いつの時代でも安定した収入が得られるようにしたい。それと、女だ。不老不死となり、永遠に生きるようになるからには、その時代、時代の女を俺が好きな時に呼べるようにしてくれ」 「そんなのお安い御用だ」  悪魔はそう言うと、怪しげな呪文を唱えた。青年は何も変化が起きたようには思えなかった。だが、呼びだしたのは本物の悪魔だ。本人もいい加減なことはしないと、ハッキリ言っていた。
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