現代の悪魔

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「よし。これで、お前は、不老不死の金持ちで、女を好きな時に呼べるようになった。願いは三つ叶えてやった。私はそろそろ、帰らせてもらう」  悪魔は煙の中に姿を消そうとした。姿が消える一瞬、青年は悪魔に一つだけ質問を投げかけた。 「しかし、どういうことなんだ?どうして、お前は気前よく、何のリスクもなく俺の願いを叶えてくれた」 「今の世の中、普通のほう・・・」  悪魔は青年の質問に答えようとしたが、姿は消えてしまった。同じ方法で、呼び出せるかもしれないが、同じ悪魔が出てくるとは限らない。ヘタに呼びだしてみて、別の悪魔に魂をとられたら馬鹿らしい。悪魔の答えが気になったが、青年は諦めるしかなかった。  翌日、青年は悪魔が言っていたことが本当だと理解した。青年の部屋には毎日、必ず金銀や宝石が置かれていた。金持ちになりたいという願いは叶った。 「と、なるとだ・・・」  青年は携帯を取り出すと、ダイヤルを適当に押してみた。悪魔の力が本物なのを確認する為だ。呼び出し音が、数回して誰かが電話に出た。声からして相手は、若い女性のようだ。 「今すぐ、俺の部屋に来てくれないか?」  青年は一言、言うだけでよかった。それだけで、相手は魔法にでもかかったかのように、アパートの青年の部屋までやってきた。好きな時に、女が呼べる。その願いを叶えられていた。  青年はやってきた女性を味わうと帰らせた。これで、二つ願いが叶えられていること分かった。しかし、それだけでは自分の願いが叶えられたのか確証はもてなかった。一番重要な願い、不老不死が叶えられているかどうかの不安だ。まさか、自分自身を攻撃して確かめる訳にはいかない。どうやったら、自分は死なないという立証ができるというのか。  けれど、それは、以外にも簡単に知ることができた。宝石を換金した金で豪遊したあとのことだ。帰り道、青年は背後から何者かに襲われた。身体に突き刺さる刃物。その痛みに藻掻き、倒れた青年。自分を襲った犯人はトドメをさすことなく、逃げ去ってしまった。道路で蹲(うずくま)っていた青年は、痛みがひいていくを感じて、自分の傷口を確認してみた。背中から肺まで達していた傷口は、もう治っていた。  この時、青年は初めて、不老不死の願いが叶ったことを知り大いに喜んだ。
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