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雪国の朝は暗い。
朝の10時に親に叩き起こされた少年は、どんよりと暗い窓の外を見て憂鬱にため息をついた。
「……家出してぇ」
ぼんやりと窓の外を眺める少年の名は、宮 航輝(みや・こうき)。
ふわふわでサラサラの黒髪に、元気そうな顔は今は憂鬱に染まっている。
宮家とは由緒ある神社である。
しかし、彼自身それを小学校の同じクラスの奴らにからかわれるネタとなるので嫌だと思っていた。
「なぁーにが『家出してぇ』よ!」
ゴンッ!
「ってぇ!」
航輝の頭に想像以上の衝撃が加わり、彼は目に涙を浮かべながら頭を抱える。
「家出する暇あるなら今のうちから神主になれるように勉強でもしてな!」
「言ってること意味わかんねーぞかーちゃん!」
航輝は頭を抱えながら彼を殴った母親に大声で喚いた。
「アンタに選択肢はないの!
嫌だとか家出したいって言うことすら許されないんだっつーの!」
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