0人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺はフレイ=シャドウ。『かなしみ』から生まれた『悲哀の悪魔』だ」
フレイがそう言い終えると、再び部屋に明かりが戻った。
「君は?」
「俺は…」
フレイが名前を尋ねたが、『色欲の悪魔』は小さく首を振った。
「俺にはおまえのような名前は無い。ただのルクスリアだ」
「…じゃあ、俺が付けてあげようか」
「え…?」
『色欲の悪魔』は驚愕の色を顔に浮かべながら、フレイを見上げた。
「じゃあ…ファフニールていうのはどうだ?昔の神話に出てくる名前で、俺と同じ頭文字だ」
「ファフニール…」
「…気に入らないか?」
「…いや」
『色欲の悪魔』は小さく微笑みながら、フレイを見上げた。
「気に入った。…ありがとう」
「じゃあ、改めて…初めまして、ファフニール」
「初めまして、フレイ」
二人は力強い握手をした。
この出会いが二人の運命を大きく変えることなろうとは、その時の二人には知る由もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!