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「紅葉様。今日はどんなお料理をお持ち致しましょう」
濃い茶髪の男が何時もの席に座った俺に、微笑みながら話し掛けた
「……何時もの…」
「すぐにお持ち致します」
上品にお辞儀をし、踵を返す彼の後ろ姿を見る
変わらんな…
あいつ…鴉間李雨の爺さんと父親を知っているからか、何一つ変わらない動作と雰囲気にいつもそう思う
この席に座り続けて何年経つだろう…
父と母に連れられて、此処でよく三人で食事をとっていた
幼い頃からのお気に入りの場所
この席から見える景色は絶景だ
しかし、何時しか此処は騒がしくなっていった
「お待たせ致しました」
コトンと静かに置かれた料理を見る
とろとろでふわふわのオムライス
普通はこの学園ではお目にかかることはない料理だから、俺だけのメニューだ
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