記憶を無くしまして

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「―――観念しなよ前田啓太、いくらお前が逃げ回っても無駄なんだから」 左右に並んでいる男たちの真ん中を小さな男の子が歩いて来た コツコツ… 足音をたて俺の前へ来て立ち止まった 「今日こそは、僕らの命令に従って貰うんだから覚悟してよね!!」 ビシっ!と指を前に突き出された ああこの子かさっき転けたの… オデコが真っ赤だし。 ってかさ目の前に来てもこの子背小さいなぁ 俺は見下ろす体勢になっていて 左右に並んでいる男たちと同じく小さな男の子は俺を睨んでいた 身長差もあり下から睨んでいるため上目遣いになっていた いや、恐くないよ むしろ可愛いんだけどね、うん。 転けた痛さを我慢したせいで大きな可愛い目は涙目。 背も小さいし顔付きは女の子みたいだ 髪はサラサラ金髪ヘアーで全体の髪の長さが均等になっている 何処ぞのお坊っちゃんなんでしょうかねー… とてもじゃないけど高校生には見えないや でもきちっと制服を着こなしている …入学したての小学生みたいだ なんか微笑ましいな 「じ、ジロジロ見ないでよっ!」 「あ、すんません。」 小学生の印象が強くてなんか微笑ましくて見惚れてしまった それにしても、この小さな男の子は明らかに俺のこと知ってるな でもなんか俺嫌われてるね、うん。 まぁ、知ってるなら話は早いし…ついでに何に皆さん怒っているか気になるし聞こうか 「いつもよりも大人しいじゃないの…まぁそんなのはいいよ。で、僕らの命令に従うの?従わないの?」 さっきも言ってたけど命令って何よ 王様ゲームとかの話なのか? 「あのすみません、ちょっといいですかね」 怒りが募る皆さんを刺激しないように下手に出る 「僕の話をはぐらかさないでよっ」 「いや、本当にちょっと聞いて頂きたいことがありまして…」 「な、何なの」 「貴方が仰った"命令に従う、従わない"の問題以前に俺今、記憶が飛んでいて今の状況が全く分からないんですけど…」 俺の発言に場の空気が重くなった気がした
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