記憶を無くしまして

13/28
前へ
/225ページ
次へ
邪悪な気を張る美形のあんどうさんは俺を無言で見る …殺されそうな勢いなんだけど さっきまで睨み付けられていた男たちの槍のような視線ではなくて 最早、目からビームだよ 跡形も残される事無く消されそうだよっ;; 「―――前田さん、貴方がふざけた人間なのは理解していることですが…私たちのリーダーを泣かせるとはどう言った了見ですか?」 「あの、…か…勝手に、泣かれたのですが……」 「"記憶がない"と馬鹿なことを言い張る貴方が一番悪いと私は思いますが?」 あんどうさん 普通に怖いです 何…俺って案外チキンなのかっ; 「記憶がないなら、意地でも思い出して下さい」 それが出来たら苦労してませんよ; 捻りだすことよりも、自分の置かれている状況に困惑してて無理です; 「あの、努力して思い出すので、名前だけでも教えて貰えないですかねー?;;」 「全く仕方ない方です…」 そう言うと美形さんはまだぐすんぐすんと泣く小さな男の子を軽々と持ち上げた 「私は生徒会長親衛隊副隊長の安藤千晃(あんどうちあき)と言います」 礼儀正しく自己紹介をする安藤さん すみません……親衛隊って何? 「吉野様、ご自分で自己紹介されますか?」 ぶんぶんっ 「…グス……っ……ふ…」 泣きながら小さく首を横にふる小さな男の子 「…此方にいらっしゃるのは生徒会長親衛隊隊長、吉野美頼(よしのみらい)様です」 なんか女の子の名前みたいだな
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

321人が本棚に入れています
本棚に追加