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『科学文明』の田舎町、ミフィン。
その近くにある『魔力の森』。
文字通り空気中に漂う魔力が普通の五倍はある『森』。
その森の中心にある廃墟に魔族が居座ったという地元民からの報告があったのが三日前。
調査のために『科学文明』から『第一五二調査部隊』が派遣されたのが、一日前。
そして、現在。
『第一五二調査部隊』全二五人は廃墟に囚われていた。
「やられました。完全に敵さんの手中にはまっちまってやがりますね」
そう呟いたのは『第一五二調査部隊』所属の兵士、シルヴィア=ランミリア。
腰まで届くほどの金髪を一纏めにした少女だった。
ファッションというより邪魔だから金髪を一纏めにしているといった少女の年齢は一五歳。
だが、年相応の『幼さ』がとことんない少女であった。
腰のホルダーには威力を高めるため色々と改造しすぎた結果、異様にゴツくなった軍用拳銃。
それにスタングレネードと刃渡り三〇センチのナイフ。
『調査』を専門とした部隊に所属しているにしては良くも悪くも『目立つ』。それが同僚たちからの感想だった。
おそらく調査部隊共通の軍服を『改造』しまくって、原型がなくなっているのもあるだろう。
彼女の隣にいる同僚からは外見は良すぎるし、武器を隠そうともしないし、胸がデカスギルシ!! …………といった感想を持たれている(最後は個人的な妬みである可能性がある)。
「チッ。手分けして捜索しちまったのは完全に失策でしたね」
過去は金持ちの別荘的な『館』の廃墟の一室でつまらなさそうに周囲を見渡し、シルヴィアは隣の同僚へと声をかけた。
「アイリ。解析は終わりましたか?」
アイリと呼ばれた茶髪の少女(胸について触れたら、バズーカで暴れまわるから要注意)は情報端末という多機能携帯タッチパネルを見ながら、
「ええと、この廃墟全体を魔族の結界で覆われちゃってますね。脱出しないと餓死かなんらかの妨害で死にますね」
情報端末の機能の一つである『異能捜査』で『どのような異能が具現されているか』はわかった。
時間はかかるが、確実な『捜査』結果を信じるなら、
「チッ。面倒なことになってやがりますね」
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