プロローグ 始まりの邂逅

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魔族が扱う異能の中には魔力以外の『元手』が必要ない魔術というものがある。 威力は同発動者の魔法より低いが、魔族自体、反則的なまでに強いから、人間にとっては厄介である。 結界は魔術の一種。 人が扱える魔法は元手となる『なにか』を増強、減少、改変する異能であるが、魔術は空間をねじ曲げる、物理現象を無視するなど『普通ならありえない現象』を起こすことができる。 そんな異能を扱えるような上位魔族は調査部隊程度が相手にしていい怪物ではない(デマ調査だと確信しておりメンドーダリーと文句ばっか言ってたのはシルヴィアの言。なにが言いたいかというと魔族が出たなんて情報を信じていなかった。だからこその『調査』であった)。 そんなシルヴィアたちの予想はハズレ、魔族は確かにこの森に存在していた。 だからこそ、魔術が発動しており、厄介な結界が廃墟を支配している。 空間支配系の魔術には中心となる『コア』が存在しているため、それを破壊できれば、話は早いのだが、 「調査結果によると、その階だけ行動できるなんらかの『敵』が配置されているようですね。ここは五階。つまり脱出するには五回敵を倒すか、逃げるかしないといけないってことですね」 「メンドーですね。どうせ結界内は敵さんに都合のいいように『ねじ曲げられて』いやがるんでしょ」 「でもこの魔術、なんらかの『コア』で支配するタイプですし、コアを破壊できれば、脱出できますよ」 確かにその通りなのだが、 「空間支配系の『コア』はその支配領域に存在しなければいけねーから、基本強力でしょーが。それにこの結界は出口さえみつければ『脱出』できるタイプです。無理せず出口見つけるほうがお利口ってもんですよ」 シルヴィアは面倒そうに息を吐き、 「しっかし団体で敵さんの罠に踏み込むなんてね。ったく、なんの反応もねーからって廃墟の中にまで踏み込むからこーなるんですよ」 「あれ? そう提案したのってシルヴィアだったような…………?」 「さー行きますよ、ほら行きますよ! 魔族ぶち殺して万事解決ですよ!!」 「あっ、こら! それで誤魔化すことができると思ってるんですか!?」
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