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「引っ掛かるんですよね」
アイリは唸りながら、
「青のエネミーに襲われて『音信不通』…………その、殺された仲間が放送で『死亡報告されていなかった』ですよね。しかもそこにいたはずの複数の亡霊もいなくなってましたし。その場に残っていたのは粉々になった仲間だけ。いえ。青が凍らせた相手を砕くのは知ってましたけど…………、あれ、どういうことなんでしょうね?」
「知らねーですよ。それより一つ忘れてやがりますよ」
「え?」
「黒いエネミーですよ。ルミアちゃんが発狂しちまったとき『ヤ……ミ…………八、アキ、ラメ……タ、「人間」……、コロ……ス』なんて言って背後に現れたらしいじゃねーですか」
「あの無線ですか。確か青に小部屋へと追い詰められて、私たちのように『外側から冷気で殺られそう』になったら背後から肩を叩かれたんでしたっけ。しかも最後に扉をあけたら『青が黒に殺された』とか」
「ルミアちゃんが最後に伝えてくれた情報ですよ。忘れんじゃねーですよ」
「わ、忘れてないですよ!? 言い忘れて……ってこれじゃ忘れてる!?」
「一人漫才はいいですよ。で、これからどーするんですか?」
シルヴィアは白い息を吐きながら、
「凍死するか私の所持品、それにアイリのバズーカ、ダイナマイト、ライターでどうにかしねーといけねーってことですよ」
一・五メートルと小柄なアイリは自身の身長より巨大なバズーカ砲を床に置き、
「わたしのバズーカは砲弾を撃ち出すもの。ダイナマイトじゃ青を倒せないと『仲間が試してくれたため、わかっている』以上…………」
「打つ手なしってわけですか」
今、青のエネミーが扉の向こう側で冷気を使い、室内の温度を下げることでシルヴィアたちを殺そうとしている。
が、所持している武器じゃ青は倒せない。
この小部屋が行き止まり。
打つ手はなし。
「もう、終わり…………ですね」
「アイリ? なに言ってやがるんですか…………?」
「『これでいいんです』」
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