44人が本棚に入れています
本棚に追加
アイリはすべてを諦めた表情で、
「すでにこの廃墟に囚われて一週間。食料も尽きましたし、『諦める』しかないですよね」
「アイリッ! しっかりしやがれです! ここで諦めたら―――」
「これでいいんです」
再度そう言ったアイリは扉へと歩み寄る。
嫌な予感がしたシルヴィアは彼女を追いかけるが、
「シルヴィアは生き残ってくださいね」
「―――ッッ!?」
遅かった。
アイリは唯一の扉を開き、
『フーッ。シューッ』
肌に突き刺さるような冷気と共に外にいる青のエネミーが腕を振り上げた。
そして。
アイリを護るため、彼女を押し退けたシルヴィアが見たのは―――
―――後ろから放たれた黒の『砲撃』が青のエネミーを貫いた光景だった。
「ッ!?」
黒の一撃は青の胴を貫き、次いで放たれた連撃によって穴だらけになり、完全に消し飛んだ。
「アイ、リッ! 逃げ―――!?」
振り返ったシルヴィアの表情が驚愕に染まった理由は単純。
アイリは後ろにいる黒のエネミーに肩を脚を胴を『無数の手に掴まれて』身動きすらできない状態だったから。
「なッ―――!!」
「わたしはもう駄目みたいですね」
シルヴィアを安心させるためか、にっこりと微笑んだアイリはこう言った。
「じゃあね、シルヴィア」
最初のコメントを投稿しよう!