70人が本棚に入れています
本棚に追加
――やりすぎたかな?
そう思ったが、これは手加減なんか出来ない戦いだ。私に非はない。やらなければ、やられるのだ。
負ければ、『愛』を奪われるのだから。
「『愛』って、なんだろう……?」
私はそう呟いて、細長い蛍光灯の並ぶ無機質な天井を見上げた。
部屋には不規則かつ微少に響く電子音。ディスクにアクセスするドライブ音と、色とりどりの小さなランプが、小刻みにオンオフを繰り返す音がする。
良く耳を澄まさないと聞こえないような音も、ここではやけに耳につく。
「勝つしか、ないんだ……」
私の吐いた白い息がもわ、と広がり、人の温度が感じられない空間へと、すぐに消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!