第一話「ギルドへ」

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荷物は剣と訓練用の木刀とお金十万ペタ。 服も軽装で、上にマントを羽織っているとはいえ、夜を外で凌げるような恰好ではない。 まずはギルドへ行ってみようと思い、街に向かった。 活気に溢れている街の中、客引きを無視しながら、ギルドへと向かう。 しばらく歩いていると、『ギルド おもちゃのチャチャチャ』という、 四回建てで、横にもかなりの広さがある建物にたどり着いた。 ギルドを立ち上げた人物のネーミングセンスに違和感を覚えつつ、扉を開く。 「らっしゃい。」 あごひげを生やしたおじさんが、ワイングラスを磨きながら出迎えてくれた。 酒場と受付を兼用しているらしい。 カウンターに座り、周りにはバレないように身分証を見せる。 「実はこういう物だ。周りには内緒で頼むぞ。」 おっさんは一瞬、驚いた顔をしたが、すぐに顔を元に戻す。 「へ、へい…。それで、どういったご用件で?」 「実は、自分磨きのために外の世界で勉強しようと思ってな。このギルドに入りたい。」 「分かりやした…。それでしたら、今日はここの二階にお泊りくだせぇ。 正式な手続きは明日ということで…。」 「分かった。身分のことだが、できるだけ伏せたい。」 「安心してくだせぇ、すべてのギルド員には守秘義務がありやす。 ただ、ギルドマスターにだけは教えなけりゃあなりません。」 「それでいい。まだ寝るのには早いし、ギルドのルールなんかを説明してくれないか。 あと、アンタの名前も知りたい。」 「分かりやした。 あっしの名前はグリム・アイリーン。ここでギルドの受付兼酒場のマスターをしていやす。 まずは、ギルドで組むパーティーのルールを説明させてもらいやす。」 「頼む。」
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