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「で、そのハーフの魔女は何しに来たんだ。」
「知らないわよ。なんか勝手に人間界に送られちゃったんだもん。」
彼女がそう言うとどこからか携帯が鳴った。
俺の携帯のメロディじゃない……ってことは……
「もしもし?あ、ベル先生?なんですかぁ?」
先生……ということはこいつも学校通ってるのか……。
「はい。は……はぁ!?何でですか!……はい。わかりました。」
そう言うと彼女は電話を切り、俺の方を向いて手を顔の前で合わせる。
「お願いっ!しばらくの間チトセの家に住まわせて!」
「はぁ?!何で?」
「何かベル先生って言うあたしの魔界の学校の担任がね、『時が来たら迎えに行くわ。それまで人間界で暮らしてなさい。家は目の前にいる男の子の家にでも居候しなさい。あ、ちなみに魔法はあなたの実力じゃ使えないわよ。』って。」
「マジか……まぁ俺は親帰ってこなくていつも1人だから構わないけど。でも部屋は別!勝手に家から出るなよ?」
「なんで?」
「だって俺の部屋から女が出てきたらおかしいだろ?」
「まぁまぁ。多分ベル先生が何とかしてくれるよ。」
そう言って彼女は苦笑いをする。
……そういえば名前聞いてなかったな……。
「お前、名前は?」
「私?私は…………シホ。見習い魔法使い、シホだよ。」
「シホ?」
「うん。学校で教わったんだけど、人間界では苗字って言うものを付けるんでしょ?私たちはそれも決まってるの。」
とシホはニッコリと笑顔を見せて言う。
「へぇ、結構細かい設定なんだな。」
「まぁね、えっと……紙とペンある?」
「えっと……これでいいか?」
俺がポケットに偶然入ってたメモとシャーペンを渡すとシホはそこに何か書き始めた。
「確か……こんな感じだった!」
紙には『花園志保』と女の子っぽいきれいな字で書かれていた。
「へぇ……花園志保か……いいじゃん。」
「でしょ?最初の授業で決めるんだよ!」
「ほー。あ、そういえば……志保って何歳?」
「え…えっと……多分、17歳。」
「多分って何だよ。」
「だって人間界年齢換算式って苦手なんだもん……。」
「あぁ、名前だけでも難しそうだな。志保はこれからどうすんの?」
「これから?」
「あぁ、俺これから授業だから……」
「あ、なら大丈夫!」
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