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真冬の雨ほど憂鬱なものはないと思う。
凍て付いた両手は、すっかりかじかみ、やがて冷たさも痛さも超越した段階まで来てしまった。
そういう時、仲間達は決まってライフルの銃尻の部分に手を打ち付け……激しく打ち付けて感覚を取り戻していたものだ。
手の皮がめくれ上がり、真っ赤に腫れたそこからは、血が滲み出ている。
痛覚こそが、自らの生を知らしめるたった一つの方法と言えよう。
僕の生まれた町は、戦場だった。
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