第2幕~グラン・アダージオ~

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 戸川由紀子警部補は、自販機の取り出し口から温かいお汁粉を出すと、上下に思い切りシェイクしてプルトップを開く。 「でー、有井。このヤマってどういう系の事件なの?」 「どういう系と申しますと?」 「例えば、原宿系とか、のぞみ800系とか? ……やだっ!! 何かこれじゃ、あたしがスベっちゃったみたいじゃないの!?  もー、やめてよー!」 「は? はあ~?」  戸川警部補は、深夜だと言うのに、異様にテンションが高かった。 「警部補、何系という表現が似つかわしいかどうかは分かりませんが、いわゆるひとつの殺人事件です」 「マジでー? こんな時間に? こんな遅い時間に?  みんな死んじゃえばいいのにぃ~」  
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