221人が本棚に入れています
本棚に追加
有井と戸川は、白い手袋を着けると、目の前にそびえる巨大な白亜の建造物に足を踏み入れた。
「ここですか」
「ここですか……っと」
根尾羽咋市立劇場。
200メートル×100メートルの長方形で、まるでアダムスキー型UFOを思わせる巨大な建物であった。
「有井、ここってどの位の広さがあんのー?」
戸川警部補は、気だるそうに訊ねる。
「国際競技レベルの試合が開催出来るサッカー場のグラウンドが、ひとつ丸々すっぽり入る位はあるはずですよ」
「ひょーっ! スゲー」
有井の解説に戸川が目を真ん丸にする。
「地下2階、地上5階建て。とにかくだだっ広い建物っつうことは間違いないようです」
「しかし、あれよねー。
こんだけデカいと、あたし達迷子になったりしないのー?
ほら、よく言うじゃん?
女って、地図が読めない脳してるって、ゆうじゃんかあ~?」
「え? そーなんすか?」
「モチよー。だから、女が車運転してる時に、男に道路地図持たせてナビさせたりすんのー。分かったー?」
「えーっ!? 女性に車運転させて、男が助手席なんですか?」
「そうだけど、何か?」
最初のコメントを投稿しよう!