第2幕~グラン・アダージオ~

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 有井と戸川は、白い手袋を着けると、目の前にそびえる巨大な白亜の建造物に足を踏み入れた。 「ここですか」 「ここですか……っと」    根尾羽咋市立劇場。  200メートル×100メートルの長方形で、まるでアダムスキー型UFOを思わせる巨大な建物であった。   「有井、ここってどの位の広さがあんのー?」  戸川警部補は、気だるそうに訊ねる。 「国際競技レベルの試合が開催出来るサッカー場のグラウンドが、ひとつ丸々すっぽり入る位はあるはずですよ」 「ひょーっ! スゲー」  有井の解説に戸川が目を真ん丸にする。 「地下2階、地上5階建て。とにかくだだっ広い建物っつうことは間違いないようです」 「しかし、あれよねー。  こんだけデカいと、あたし達迷子になったりしないのー?  ほら、よく言うじゃん?  女って、地図が読めない脳してるって、ゆうじゃんかあ~?」 「え? そーなんすか?」 「モチよー。だから、女が車運転してる時に、男に道路地図持たせてナビさせたりすんのー。分かったー?」 「えーっ!? 女性に車運転させて、男が助手席なんですか?」 「そうだけど、何か?」 
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