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非常線を潜り抜け、戸川警部補、有井刑事を始めとする捜査班一行は、1階のエントランスホールへと入った。
「しょえー! 何じゃこりゃ」
素っ頓狂な声を発した戸川の立っているエリアは、かつてNASAが実際の月面着陸で使用した『ルナ・マーズローバー』のレプリカが展示してあった。
その真横には、ジェミニ飛行船のこれまたレプリカ。
「これって、あれでしょ? 有井」
「はい。月面車ですね」
「マジでー? 運転してえ」
全員の血相が変わる。
「と、ともかく、この一角では、根尾羽咋市の名物とも言うべき、宇宙開発や宇宙、UFOにまつわる展示スペースとしての役割を果たしています」
「は? 何それ?」
「警部補、ご存じありませんか? ここ、石川県根尾羽咋市は、UFOの目撃件数が全国1位なんですよ」
「あたし、最近まで福井県警にいたから、知んない」
戸川警部補は【立ち入り禁止】と書かれた柵を乗り越えると、ジェミニ宇宙船のハッチに近付いた。
「おお、プラチナリングみたいな色してるわ」
「警部補、おやめ下さい」
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