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「わっ! ……いたそー」
戸川が口を押えて、目を背ける。
人間が十数名は収まれそうなクローゼットが、入って来てすぐ右側のスペースに位置しており、ドアと並行した壁側には、大小様々な文献や書籍のぎっしりと詰まった本棚が備え付けてある。
しかし、何よりも戸川警部補の目を引いたのは、床でうつ伏せになって倒れている若い女性の姿だった。
年齢は二十歳になったか、ならないか、まだ少女と言っても良い位だ。
肩までのセミロングが顔の右半分にかかっている。
純白のワンピースは、背中から溢れ出た鮮血で染まっていた。
「被害者は、遠藤早苗さん。
21歳。根尾羽咋セントラル・バレエ団の研究生です」
いつの間にか、傍らには有井刑事が来ており、警察手帳を見ながら、概要を説明していた。
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