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「プッ。イトちゃん、今すっごい顔してるよ。そんなにびっくりした?」 遠藤さんは私の顔を見て笑った。 「びっくりしました、全然気が付きませんでした!って言うか、澤田さんとお友達なんですね、そっちもびっくりですよ!!」 「あはは。こっちも、イトちゃんがいつもの恰好じゃないからちょっとドキドキしたんだよね~。スカートなんて初めて見たし。」 ちょっと意地悪な顔をして言う遠藤さんの目尻に皺ができてる。 「って、遠藤書店さんは、私が澤田さんと彩子さんの知り合いだって、いつ気が付いたんですか?」 「あぁ、なんか、彩ちゃんの後輩も呼ぶって話を聞いたときにうちの本屋の近くの文房具屋で働いてる子でイトちゃんって名前だって言うからさ。」 「イトちゃん、ジロさんのこと遠藤書店さんって呼んでるの?」 笑いながら聞いてくる彩子さんに言われて気が付く。 「だって、お客さんですから。屋号にさん付けは基本ですよ。」 「でも、ジロさんはイトちゃんのこと、イトちゃんって呼んでるけど?」 うん、確かにそうだ。 「私は、プライベートで遠藤書店さんの顧客なんです。仕事の帰りによく寄ってるから。」 「そうそう、イトちゃんは我が遠藤書店の小売り部門のお得意様なんだよ。」 彩子さんに言う遠藤さん。 「でも、プライベートの時は、遠藤書店さんはやめようよ。これから、二次会の用意したりするときに遠藤書店さんって言われるのは微妙だからさ。」 にっこり笑いかけてくる遠藤さんに向かって小さく 「はい」 と答えた。
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