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取りあえず、エスカレーターで巨大な本屋さんのフロアーに降りた私と彩子さん。
「やっぱり、フロアー全部が本なだけあって、すごいですね、ここの本屋さん。」
「イトちゃんは遠藤書店の大事なお得意様だから浮気はしないんじゃないの?」
笑いながら彩子さんに聞かれる。
「浮気って・・・。でも、欲しい本は遠藤書店で買いますね。同じ商店街のお店だし、マスターが素敵なんですよ。」
「はい?マスターってジロさんのお父さん?」
「そうです。あっ、ちょっと絵本のコーナー見てもいいですか?」
絵本のコーナーはどこの本屋さんもメインの売り場に比べたら驚くほど小さい。
でも、絵本のコーナーが置いてあるだけ、いい方なのだ。
だいたい、小さな本屋さんには申し訳程度にしかないのだから。
「ここの本屋さんの絵本コーナーって可愛いですよね。なんか、ここだけ囲ってあって絵本のお城って雰囲気で。」
「そうだね。お目当ての本があるの?」
一緒に絵本コーナーにやってきた彩子さんに聞かれて、目的の絵本を探す。
と言うか、平積みになってたからすぐに見つかった。
「これかぁ。新聞の広告で見たんですけど、絵が可愛くて。買おうかな。」
「買っちゃえ買っちゃえ!!」
彩子さんの言葉に押されて、買うことを決意してそっと絵本を元の場所に戻す。
「月曜日に遠藤書店で注文することにします。」
「今、買えばいいじゃない。目の前にあるんだから。」
彩子さんに絵本を指差される。
「確かに、そうなんですけど。なんていうか、同じモノなら商店街で。」
「イトちゃんらしいかも。」
彩子さんが納得したようなしてないような顔をして頷いてくれた。
私らしいってなんだろう。
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