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「ねぇ、イトちゃん、ちょっと二人で話がしたいと思って隆達と別行動にしたんだから、ケーキでも食べない?」 「いいですね。さっきのチョコムース、どんな味だったか実は全然覚えてなくて。」 「あはは。ジロさん、イトちゃんの手、掴んで強制的にあ~んしちゃったものね!!」 思いだすだけで顔が熱くなる。 本屋さんのフロアーの端っこに入ってるコーヒーショップに入って、二人でケーキセットを頼む。 だされたおしぼりで一息ついて、彩子さんの顔を見るとちょうど目が合った。 「率直に聞くけど、ジロさんのことどう思う?」 「ええと、あの、本屋のお兄さんって。」 「うん、ジロさんが今までのイトちゃんにとって本屋のお兄さんだったのは間違いないだろうね。」 「はい。」 遠藤さんのことを聞かれて手に汗が出てくる。 さっき置いたおしぼりをそっと掴んで両手を拭く。 「じゃぁさ、今まではジロさんは本屋のお兄さんだったけど、これからはどうかな?」 「これからって・・・。」 「今日、こうやって、隆の友達として会って、二次会の幹事も頼んだわけじゃない?で、男の人といつも距離を置いてるイトちゃんにとって、もう少し、なんて言うかリハビリ的な。」 彩子さんが、言う言葉を考えてみる。 ゆっくりとした付き合いを望んでフラれてしまってから、男の人と距離を置いて深く付き合おうとしなかった。 ずっと、心配してくれていたことも知ってる。 だからリハビリなのかな。
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