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「座れてラッキーだったね。」 「そうですね、時間がちょっと早いから混んでくる前ですもん。」 澤田さんと彩子さんと別れて電車に乗ろうとホームに来たら、5分くらいで電車がきた。 その上、座れたんだから本当についてる。 ロングシートの一番壁際に私が座って、その隣に遠藤さん。 知ってる男の人と隣で座るって緊張する。 顔が赤くなってないかな。 「イトちゃんは、島田商会に来る前はどこで働いていたの?」 「菱川証券って会社です。」 「証券会社!!これまたイメージじゃないね。」 「あはは。イメージって、島田商会で働いてるイメージしかないんですよね。」 遠藤さんの顔を見たら、優しい顔で笑ってた。 「でも、すごい大きい会社でしょ?なんで辞めちゃったの?」 「合わなかったんです。もともと、友達に誘われて受けたら受かって、他の会社は全部不採用だったから入社したんです。でも、仕事の内容も社風も私には厳しすぎたんです。それなりに一生懸命やってたつもりだったんですけど。」 「へぇ。で、辞めて島田商会なんだ。」 「ええ。通勤時間が短いのも残業がないのも魅力です。ところで、遠藤さんのお仕事は何をされてるんですか?」 「何してるように見える?」 いたずらっぽい顔で聞いてくる。 「う~ん、遠藤書店ってイメージなんですけど。普通にサラリーマン。」 「月給もらってたらみんなサラリーマンじゃん。」 笑いながら言う遠藤さん。 「一応さ、地元で働いていざってときには家の仕事も手伝えそうなところで働いてるんだよ。」 「ますますわからない。地元企業?」 「農協の職員なんだ。」 「へぇ~。」 農協って、何やってるところだろう。 何年か前に家の近くのライスセンターで火事があったっけ。 あれも農協???
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