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「いったい、いつの時代の携帯なわけ?」
私の携帯を指差して笑う遠藤さん。
「当時は最新式だったんですけど。」
と、二つ折りの携帯を開ける。
遠藤さんはスマホってやつだ。
「赤外線、どこだっけ。」
カチカチと探してるとまた遠藤さんに笑われた。
「イトちゃんって、若者らしくないね!!」
「もう、あんまり使わない機能なんてすぐに忘れちゃうんです!!」
「受信にすればいいですよね?」
「うん、じゃぁ、いくよ。」
携帯同士をくっつけて。
うん、できた。
「今度は私のを送ればいいですか?」
「うん、そうだね。こっちは用意できたよ。」
また携帯同士をくっつける。
「オッケー。こっちもきたよ。」
「あっ、ちょうど電車、来ました。今日は楽しかったです。」
「うん、こちらこそ。イトちゃん、電車、乗って。」
言われて電車に乗って、入り口で遠藤さんを見る。
すると、遠藤さんが思いだしたみたいにバッグをゴソゴソやって、中から何かを取り出した。
扉が閉まる直前にそれを私の手に握らせて
「これ、使って。」
と折り畳み傘を渡してきた。
「えっ、遠藤さんは?」
っと慌てて返そうにも扉が閉まった後。
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