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あっ、地下に電車が潜った。
もうすぐ名古屋だ。
半地下の私鉄の名古屋駅。
扉が開いて、乗客のほとんどが降りる。
その流れに乗って、私もゆっくりと降りて、流れのままに階段を登る。
金時計で待ち合わせだから、JRの方に行かなくてはいけない。
いつものさびれた地方都市とは違って、名古屋は人が多い。
歩いていくと、さすがは待ち合わせのメッカなだけあって人の山だ。
この中から見つけられるだろうか。
時計を見ると10時50分。
まだ来てないかな。
お洒落な御嬢さんを眺めながら、自分が場違いなところにやってきたような気がしてくる。
「イトちゃん!!」
呼びかけられて顔をあげると、久しぶりに会う彩子さんがふんわり笑っていた。
「お久しぶりです。」
「ふふっ、そうだね。ねぇ、ご飯の前に高島屋さんでお手洗いに行ってもいい?」
「いいですよ。」
最後に会ったのは確か、前の会社を辞めて、仕事を探してるときだったから、3カ月位前か。
相変わらず、彩子さんは可愛らしい。
3歳年上には見えないな~。
なんて思いながら彩子さんの横に並んでみる。
お手洗いと言った彩子さんはパウダールームに直行した。
あれ?おトイレは?
と思っていたら
「イトちゃん、座って!!」
強引に座るように促される。
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