5/10

17070人が本棚に入れています
本棚に追加
/1955ページ
あっ、地下に電車が潜った。 もうすぐ名古屋だ。 半地下の私鉄の名古屋駅。 扉が開いて、乗客のほとんどが降りる。 その流れに乗って、私もゆっくりと降りて、流れのままに階段を登る。 金時計で待ち合わせだから、JRの方に行かなくてはいけない。 いつものさびれた地方都市とは違って、名古屋は人が多い。 歩いていくと、さすがは待ち合わせのメッカなだけあって人の山だ。 この中から見つけられるだろうか。 時計を見ると10時50分。 まだ来てないかな。 お洒落な御嬢さんを眺めながら、自分が場違いなところにやってきたような気がしてくる。 「イトちゃん!!」 呼びかけられて顔をあげると、久しぶりに会う彩子さんがふんわり笑っていた。 「お久しぶりです。」 「ふふっ、そうだね。ねぇ、ご飯の前に高島屋さんでお手洗いに行ってもいい?」 「いいですよ。」 最後に会ったのは確か、前の会社を辞めて、仕事を探してるときだったから、3カ月位前か。 相変わらず、彩子さんは可愛らしい。 3歳年上には見えないな~。 なんて思いながら彩子さんの横に並んでみる。 お手洗いと言った彩子さんはパウダールームに直行した。 あれ?おトイレは? と思っていたら 「イトちゃん、座って!!」 強引に座るように促される。
/1955ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17070人が本棚に入れています
本棚に追加