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「イトちゃんは奥にどうぞ!!」 「彩子さん、私が逃げないように奥にしてません?」 「ばれた?」 話しながら、知らない人の正面に座らされる。 「澤田さん、お久しぶりです。」 さっき、入り口から見た姿を思い出してちょっとにやける。 男の人が二人で隣同士に座る姿は恋人同士みたいで笑えた。 「イトちゃん、久しぶり。なんで笑ってるの?」 「あ、いや、ふふふ。」 「隆、そんなん、決まってるじゃない。男同士で恋人みたいに隣同士で座ってるから笑えたのよ!!」 ニヤニヤしながら彩子さんが暴露してくれる。 先に笑ったのは彩子さんなのに。 「人口の半分は男性ですし、私は男同士もアリだと思いますよ。」 ニヤニヤしながら悪乗りする。 「でも、俺、彩子一筋だし。」 にっこり笑いながら爆弾投下。 「ブッ」 目の前の知らない人が噴き出すのと 「ちょっと、隆、何、恥ずかしいこと言ってんのよ!!」 彩子さんが叫んだのは同時だった。 「恥ずかしくないだろ、本当のことだから。」 今度は彩子さんに向かってニッコリ笑う澤田さん。 聞いてるこっちが照れるって話だ。うん。 「あっ、そうそう、イトちゃん、こいつ、遠藤次郎。大学の同級生だから先輩だよ。」 「はじめまして、遠藤次郎です。」 笑った目じりに皺ができて、優しい雰囲気の人だなって思えた。 「はっ、はじめまして、糸田美咲です。」 そう言うと、遠藤さんはますますニッコリ笑ってくれた。 その顔を見たら、緊張していたはずの私までニッコリできた。 澤田さんの同級生ってことは、6歳年上。 大人だな~なんて思う。 「何にするか、決めちゃおうよ!!」 彩子さんの言葉にうなずいてメニューを見る。 「俺達、Bランチにするよ。」 澤田さんの言葉にランチメニューを覗く。 お好きなパスタ、前菜、スープ、デザート、飲み物がAランチ。 デザートなしでパスタが大盛りがBランチ。 男性向けと女性向けなんだ。 「じゃ、Aランチにする!!イトちゃんは?」 「私もAランチにします。」 その言葉を聞いて、澤田さんが店員さんを呼んでくれた。
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