友達......だろ?

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昼食も済ませてしばらくすれば、眠たくなるのは世の道理な訳で。 適当なこと言って友達の輪から抜け、うとうとまどろんでいるところにそれはやってきた。 「坂田ー。さかたぁー。体操服貸して」 「んぁー?ロッカーに入ってねぇ?」 「なかったから聞いてんだけど」 俺の眠りを妨げるとはけしからん。 だがしかし相手が荒木というのなら、話は別だ。 どこにでもいそうな黒髪短髪やや薄めの顔。細くもなく太くもない体躯。発言まで普通すぎて、それがむしろ荒木の個性とさえ思える。 毎回のごとく荒木を観察したあと、思考を切り替える。 体操服、どこに置いたかな......。 「んー...............あ、カバンの中だ」 「やった、貸せ!」 「そんなこと言うやつには貸さねーぞ。ほら、取ってみろ」 「はぁ?お前、椅子に立たれて届くわけねーし!」 背伸びしてとろうとする荒木マジ可愛い。 眠気もどっかに飛んでった。 そろそろ時間も迫ってきたので普通に渡してやると、少し睨んでから笑顔でさんきゅ、と言って走っていった。 「(.........やべー。)」 荒木のことが好きだと気付いてからの自分がもうキモい。 荒木が何をやっても可愛く見えるし、事あるごとに猿こと中学生みたいにアレに直撃する訳ですよ。 机に突っ伏してブツブツ言ってると、 「坂田くん...大丈夫?具合悪いの?」 「ん?あー大丈夫だいじょぶ!ありがとな!」 「うっ、ううん!何ともないならいいんだ!」 きゃー!お礼言われちゃった!と、こそこそ話すちっちゃいものグループに視線を少し流し、思考の8割を荒木に、1割を次の授業に向け、残りの1割で再び微睡み始めた。
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