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「坂田さぁ、明日暇?漫画買いたいんだけど」
「部活終わったあとでいいならいーよ」
「んじゃ決定ね。この前食べた黒ごまアイスの抹茶パフェ食べたい」
帰り道、いつもは部活の終わる時間が違うから一緒に帰れないんだけど、今日はたまたま一緒になった。
くそ嬉しい。
荒木が歩きだっていうからあ、俺もとかいって一緒に歩いて帰ってるけど俺、自転車学校に置いてきてるっていうね。
なんか俺すげーバカ。
「俺もなんか買おっかなぁ」
友達って、どんな感じだっけ。
家までの僅かな道のりを、短い時間をもったいなく思う自分に苦笑しながら、先を歩く荒木の、俺より少し低い背中を眺めた。
「(……だめだ、後ろ姿までエロく見えるとか末期。つか首白っ。あーもう無理、やっぱ早く帰んねーと)」
何とか煩悩に打ち勝った俺は、帰宅した後、努めて健全に、テレビを見たあと課題をやろうと思っていたのだが。
頭の中にチラつく荒木の顔。
思考は次第にエスカレートし、妄想の中の荒木は恥ずかしそうにこちらを見上げたり、オレの手に翻弄されたりし始めた。
「(あ、これは…無理だ)」
健全な男子高校生な俺は、元気になってきた俺自身を慰めざるを得なかった。
「さーさー坂田、行こうぜ!待ちくたびれた」
「おう。どれくらい待った?」
「一時間くらいじゃね?寝てたから分かんね」
待ちに待った放課後。
教室で待ってるという荒木の元へ行くと、それまで机に伏していたらしい奴は張り切った様に立ち上がって言った。
俺はというと、楽しみなあまりにやけそうになる顔を取り繕うのに苦労した。
小さい子達に何回も大丈夫?って聞かれたし、よっぽどあからさまだったんだろうな。笑える。
「つーかお前、相変わらず人気すげーなぁ」
「そーか?」
俺はお前からの人気さえあればいいんだけどな。
何を思ったのか、改めて感心した風に言う荒木に意味深な目線を送る。
「やっぱイケメンなバスケ部エースは違うな!」
「お前はわざと大きい声で言ってんだろ」
「うひゃっ、ちょ、やめっ……!」
囃し立てるように言われ、周りにいる人たちがチラッとこちらを見る。
荒木との会話に視線だけでも他人を介入させようとするやつは例え荒木でも許さん。
このやろ、と後ろから回り込んで荒木の脇腹をくすぐってやった。
普通に柔らかかったし、何よりあのビクッと体を震わせて反応してくれたのは最高だった。
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