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そんなやりとりもそこそこに、俺たちが向かったのは近くのショッピングモール。
なんと、高校の裏にドーンと構えてある。
高校側がモールの建設に反対したとかしなかったとかね。
そんな風に近くにあるから、部活帰りに寄ったりなんて出来る訳だけど。
「んーうまい!この黒ごまとミルクが混ざった感じがたまんないよなー」
ピクッ
「…それ、甘過ぎねぇ?俺は普通に抹茶アイスだけで十分だけど」
「いやいや、坂田は分かってないのよ。最初に黒いのだけ食べるだろ?で、後から白いの食べるだろ?黒ごまを味わったあとに、甘いミルクで口を癒すんだよ、分かる?」
ピクピクッ
落ち着いた(思いっきり女性向けな雰囲気の)店内で熱く語る荒木は、説明しながら実演して見せる。
うあ、やめろこっち見んな。
「言ってることはわかるから、」
分かったからそれやめ
「だろ?そしたら最後に両方ともぐっちゃぐちゃに混ぜてフィニッシュ!!マジ最高!!」
「バカやろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「は?え、なに」
「あ、いや何でも、つーかそれはやっぱねーよっ、大体、ぐ、ちゃぐちゃに混ぜるとかエr、じゃなくて汚ねーし!」
思わず声に出して叫んでしまったが俺は悪くない。
んなキョトンとした顔でこっち見んなっつーの!可愛すぎんだけど!
「お前何吃ってんの?なんか息荒いし。つかうるせ」
「…っお前なぁ、笑うなっ!」
「ほら、また」
擬音で表すならケラケラといった様子で笑う荒木。
今全力で荒木を愛をこめ抱きしめて投げ飛ばしたい。あわよくば襲ってしまいたい。
………もう、どうしたってこいつには勝てねーな。
平日のこんな時間だけに、人が少なくて幸い。
俺らうるさすぎだろ。
そしてこの天国の様な地獄の様な時間を、なるべくなら他人に見られたくない。
俺は変態か。
「このやろ。つか食い終わったなら漫画買いに行こうぜ。」
努めて冷静を装い(無駄な努力)、大体漫画買いたいって言ったくせになんで真っ先にパフェなんだよ、と突っ込もうかと思ったが、なんかもうそれも含めて荒木が好きすぎて言葉にならなかった。
しかも漫画買いたいと言った割には持ってるシリーズの続編だったらしく、本来の目的は3分で終わった。
なに、俺のための時間だった訳ですかありがとうございます。
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