それでも廻る

2/4
380人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
「ーーーでは、以上で終わります。皆さん、ご自分の隊の隊員には改めて言って聞かせておいてくださいね」 「分かったぁ!絶対に制裁しないように言っておくね!」 「年に1度の祭なんですから、ガツンと言っておかないと駄目ですよ、佳南(カナン)先輩」 「まー大丈夫でしょ。みんないい人達ばっかですし。あ、もちろん言っとくことはちゃんと言っときますよ?」 とある学校の第何番目かの会議室。 もう数日後に迫った文化祭を前に、俺を含む各親衛隊の隊長達は生徒会長の親衛隊隊長により招集されて、学校をあげての一大イベントに向けての最終確認をしていた。 「大丈夫だよぉ。最近はそんなに変わったこともないから!でも、もう1回お願いしておくね!」 「カナのところは特に活動的な隊員もいますからね」 「これで未だ制裁被害ゼロって、カナ先輩も見かけによりませんよね」 「慎ちゃん言うねぇ。みんな根はいい子なんだよぉ?」 「わかっ」 「そんなこと皆分かってますよ。じゃあ、俺は用事があるので先に失礼します」 本題は終わったものの、解散する前に何となく世間話が始まるのは恒例となっている。普段ならここでカナ先輩こと佳南先輩の話でもうひと盛り上がりするところだけど、あいにくと皆、お祭りの準備が大詰めを迎えている。 生徒会書記こと夕様の隊長である吉武(ヨシタケ)が退室したのをきっかけに、それぞれが席を立ち始める。 おい、俺の台詞遮りやがって。本当に夕様にしか関心がないやつだな。 まぁいっか。俺もかーえろっと。 「じゃあまた当日、ですね。俺、先輩たちのとこ遊びに行くつもりなんで」 「慎太郎くんなら是非。私も空き時間に顔を出しましょう」 「あ、僕もー!!楽しみだなぁ。じゃあまたね!」 何度見ても先輩とは思えないな。 ぶんぶん手を振るカナ先輩に軽く頭を下げて、会議室をあとにした。 親衛隊が集まる会議室は、学校の正規の活動の邪魔にならないように日常的には使わないところを借りているため、つまるところとても辺鄙な場所にある。 寮までそこそこ距離があるので、道中福ちゃんに電話して今日の話を伝えながら帰った。 「ーーてな訳だから、1回集まってもらおうと思ってんだよね。急で悪いけど、明日昼休みによろしく頼むね」 「大丈夫だと思いますよ?隊長の、栗城隊長のお声とあらば1時間半くらいでみんな集まるのではないですか?」 「リアルな数字ぶっこむな。それ、速いの?」 「秀爾(シュウジ)様や奏(カナデ)様の親衛隊ほど人数がいる訳でもありませんから」 答えになってないよ、福ちゃん。 絶対ぽへっとしてるよ、かわいいよ。 そんな感じで毎日過ごし、あっという間に当日を迎えた。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!