それでも廻る

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「はいーらっしゃいーこんちはー」 何をしているかと言うと、店番である。 何の店番かと言うと、たこ焼き屋さんである。 はい、暑い。 教室内はほぼ調理室として使っていて、後ろ側のドア周辺に2、3席だけ仕切ってイートインスペースを設けてはいるが、廊下に面した窓を開けて注文受付をすることでなんちゃって屋台感を出している。 家庭科室競争に負けたからな、それはもうたっくさんの蓄冷ボックスを用意して、ホットプレートを複数持ち寄ってせっせと焼いております。 「たこ焼きひとつくださーい」 「普通のとネギたことマヨたことありますけど、どれにします?」 「じゃあネギたこで!」 「あいよー300円っすね。現金のみご利用になれまーす」 まー食べ物屋やってるだけあって人の来ることくること。 くっそ忙しいけど、焦ったとこでミスする可能性が増すだけなので、通常運転でございます。 「はいあざーす。お渡しは右側になりまーす」 額に滴る汗をTシャツの袖で拭って、はい次のお客さん。 「どーもいらっしゃ……おお、吉武か」 「普通のたこ焼きを2つ。忙しそうだな」 「うい、2つで800円ね。みんな初っ端からエンジョイしてんなぁ」 「栗城はいつまでなんだ?」 「午前中で終わりー」 「時間があったら俺のクラスにも来るといい。俺がいるかどうかは分からんが、飲み物とスイーツがメインのカフェをやっている 」 「いるか分からんのかい」 「夕様のサポートがあるからな。1000円で頼む」 「はいお釣り200円。夕様ね……あんまりやりすぎんじゃねーぞ」 「栗城はもっと白羽様自身と向き合うべきだと思うがな」 「えっ、俺結構頑張ってると思ってたんだけど」 「そういうことではない。これ、ありがとう」 あらー言いたいだけ言って行っちゃったよ。 ほんと読めないやつだな。 あっ、またお客さん。 忙しなく動き回っているうちに、あっという間に時間は過ぎていった。
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