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『もしもし、阿部くん?』
『急にワリぃ。篠岡、今電話大丈夫か?』
『うん、大丈夫だよ!……どうしたの?』
少し間があった。
『篠岡、ありがとな』
急にお礼を言われて、戸惑ってしまう。
『何、急にどうしたの』
『最初、料理を教わるはずが、ここ最近は作ってもらうばっかで。しかも、掃除や洗濯まで。だから、ありがとう』
これを聞いて、私の中に嫌な予感が生まれた。もう阿部くんは私を必要としてくれない、と。
『少し考えたんだ。夏休み明けてもまだ、篠岡に毎日来てもらうのはどうかって。篠岡も大学の講義やバイトがあるのに、何かワリぃ気がしてな。だからもう手伝わなくて…いいから』
やっぱり…わかっていても、涙が出そうになっていた。
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