お腹いっぱいご飯を食べよう

8/14
前へ
/14ページ
次へ
『もしもし、阿部くん?』 『急にワリぃ。篠岡、今電話大丈夫か?』 『うん、大丈夫だよ!……どうしたの?』 少し間があった。 『篠岡、ありがとな』 急にお礼を言われて、戸惑ってしまう。 『何、急にどうしたの』 『最初、料理を教わるはずが、ここ最近は作ってもらうばっかで。しかも、掃除や洗濯まで。だから、ありがとう』 これを聞いて、私の中に嫌な予感が生まれた。もう阿部くんは私を必要としてくれない、と。 『少し考えたんだ。夏休み明けてもまだ、篠岡に毎日来てもらうのはどうかって。篠岡も大学の講義やバイトがあるのに、何かワリぃ気がしてな。だからもう手伝わなくて…いいから』 やっぱり…わかっていても、涙が出そうになっていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加