東雲 棗は入部する

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正直、どう話しかけて良いかわからない。 女子アレルギーの治療として部活に入ることになったのにいきなりこんな…、酷だ。 「あの、先生…」 俺は抗議すべく口を開いた。 「彼女が部員さんですか…?」 「あぁ、あいつが部長の夕凪だ」 先生は夕凪というらしい、女子生徒を手招きで呼ぶ。すると夕凪はフラフラと立ち上がり、大あくびをしながら俺の前に来た。 改めて近くで見ると、やはり美人だ。 「えっと…、どうも」 なんと言っていいかわからず、とりあえず適当に挨拶をする。 すると、先生が時計を見てわざとらしく咳払いをした。 「おっと、そろそろ教員会議の時間だ。悪いがあとは2人で頼むぞ!では」 「お、おい!」 先生を呼び止めるが、時すでに遅し。無情にも扉は閉まってしまった。 マジか…、2人きりとかヤバイって。 夕凪も同じく不満なのか、何か言いたげに扉を見つめて溜め息をついた。 残された俺と夕凪の間に気まずい沈黙が訪れる。というか、夕凪に関してはソファーに戻って寝転び始めた。 何か話さなくては、そう思えば思うほど言葉につまる。 しかし、その沈黙は意外にも夕凪によって破られた。 「立ってないで、座れば…?」 「え?」 消え入りそうな声で呟く夕凪は、横になりながら彼女の向かいのパイプ椅子を指す。 どうやらソファーは彼女専用らしい。赤い色もあわせてザクかとツッコみたいのを堪え、俺は座った。 「今日は依頼…?」 「いや、依頼ってわけじゃないんだが…、もしかして先生からは何も聞いてないのか?」 夕凪は一つ頷くと、再び俺を凝視する。 話せと言うことだろうか…? 俺はひとまず、ここに至るまでのことを夕凪に話すことにした。
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