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「そう、大体把握した…」
説明を終えた俺は、ひとまず夕凪の理解力の良さに安堵の溜め息を漏らした。
どうやら見た目とは裏腹に、頭の回転は早いらしい。俺はせっかく夕凪と話ができたので、この雰囲気を崩さぬように質問を考えた。
「で、この部活は何をするんだ?身近な手伝いがどうのって書いてたけど」
「依頼を解決していく部活。説明するより見た方が早いから…。それと…、これ」
夕凪はソファーのクッションの1つから紙を引っ張りだし、俺に手渡してくる。それは入部希望届だった。
「書かないと、入部できない…」
「お、おう。えっと…?」
俺はペンを取り出しながら入部届に目を通す。
1つ;いかなる依頼もこなせるという自信はありますか?
まぁ、あるにはある。というか俺が入部する理由は女子アレルギーの克服だがな。
俺は○を付けて次を見た。
2つ;依頼を解決するにあたってトラブルが発生した場合、全ての責任を負えますか?
え?何これ…、全て負うって?
3つ;夕凪渚を可愛いと思いますか?また、守ってあげられますか?
………。
「あの、夕凪さん…?何ですかこの内容」
「何って、入部する前の確認みたいなの…かな?」
「いやいや、1はわかるがその後!特に3なんて入部に関係無くないか!?」
しかも若干手書きっぽいのがまた怖い。
しかし、夕凪は首を傾げると小さい声で呟いた。
「関係ならある…。従順かどうかを見定めるため」
しれっと凄いことを言うな…。
昔親父から教わったが、美人にろくな奴がいないってのは本当だったみたいだ。
そんな昔の事を思い出していると、夕凪に入部届(?)をひったくられ、しかも全てに○をつけられた。
「おい、勝手に○をつけるなよ…」
「どうせ内容に目を通さないのが人間。それに、貴方は断れないんでしょ…?」
それはそうだ。桐島先生に断れば退学と言われたからな。
俺は仕方なくなってハンコを取り出すと、入部届(?)に押した。
何だか、前途多難な感じがめちゃくちゃするな…
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