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夕暮れ時の交差点。
普段なら部活帰りの生徒や早めに帰る会社員で賑わうこの交差点だが、今日は違った。
むせ返るような血の臭いが辺りを包み、人だかりができている。
彼らが囲むのは一台の救急車と、それに担ぎ込まれる血まみれの少女、そして魂が抜け落ちたかの様に立ち尽くす1人の少年だった。
彼の足下にはブレーキの後があり、その先には車が止まっている。
恐らく、車が少女をはねたらしい。少年は先ほどの少女の付き添いか何かだろうか。
「 」
少年の口が何かを呟くが、周りの喧騒がそれをかき消す。
夕暮れ時の交差点。
その日、少年は大切なものを失った。
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