東雲 棗は入部する

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そもそも途中から部活に入った奴は、既に出来上がったグループに馴染めずに人知れず辞めていくのがこの世の定義。 しかも普段目立たない奴なら尚更だ。 ソースは俺、まぁ話すと悲しくなるから省かせてもらうがな。 結論、俺が何を言いたいかと言うと、部活は嫌なのである。 「何か部活に苦い思い出があるようだな」 「何でわかるんだよ、怖ぇんだよ」 「わ、私はお前の事なら何でも知ってる、ぞ?」 「可愛くねぇんだよ!何だよ、ぞ?って!」 先生は「チッ」っと舌打ちをして足を組み替える。 先生が結婚できない理由が一瞬垣間見えた気がしたが気のせいだろう。いや、気のせいでなかったとしても触れたら殺られる。 さわらぬ神に祟りなし、さわらぬ三十路に祟りなしだな。 とりあえず先生が俺を呪殺せんと言わんばかりに睨んで来たので、話を戻す事にした。 「でも先生、何で部活なんすか?」 「ん?まぁ簡単に言うと、人と自然に接する事ができるからだな。お前の場合、コミュニケーション能力の欠如が症状の治療を妨げていると私は思っている。だから私は、そんなお前でも自然にコミュニケーションをとれるであろう部活を選んだのだ」 「いや、俺も一応コミュニケーションくらいとれますよ」 「…な、何だと!?」 先生は椅子から滑り落ちてしまった。
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