東雲 棗は入部する

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いや、失礼過ぎるだろ。 いきなりコミュニケーション能力が欠如してるとか言われると泣いちゃうよ? 俺は椅子に座り直す先生をジト目で見つめて不満アピールをする。ぷんぷん! 「いやすまない、そうか人とは話せるのか」 「本気で泣くぞ…。それより、部活ってのは絶対入らないとダメなのか?」 「あぁ。もし断れば退学」 「処罰重いな!!」 もう本当にやめてほしいわ、退学突きつけるの。抵抗のしようがないんだもん。 しかし先生は気にせずに話を続ける。 「といっても、私が顧問をしている部活なんだがな。お前にはそこに入部してもらう」 「何か胡散臭そうっすね。で、いつから入部なんですか?」 「とりあえず明日からだが、今日は今から顔を合わせに行く」 「今から?」 それはまずい、確か今日は俺が夕飯を作る予定になっていたはずだ。 俺はその話をスケープゴートに、この場から逃げるべく口を開こうとする。が、先生がそれを制した。 「あぁ、一応家には連絡を入れてあるから心配するな」 「手回し早いな…」 「人を待たせてある、そろそろ行こうか」 脱走失敗。 先生は俺の襟を掴むと、何処へと引きずり始めた。因みに何故抵抗しないのかと言うと、先生の手が首に触れていることで発作が起き、込み上げる吐き気と戦っているからだ。 症状を利用されてる。 俺は成す術なく、されるがままになっていた。
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