運命を変えた夜[後篇]

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「私ね今日、昔の自分に戻りたくて来たの。戻りたくてっていうか昔みたいな思いをしたくてって感じかなー。今なんか全然冴えなくて、生きててもつまんなくて、、正直言うとね私がここにいた頃は自分が世界の中心にいた気がした。 私の前には良いことしか待ってないって、そうに違いないって思ってた。自分が輝いてるってそう、思えてた。あの頃は。でも、情けないねー。こんな年で昔は良かったなんて、そんな風に思うなんて情けない。どんどんダメになってくの。こんなはずじゃない、もがくんだけどどうにもならなくて。 私と康平、同じ県立行って一緒に大学も受けたの。でも、私だけ落ちた。。落ちるなんて思ったこともなかったー。私は大丈夫、なんだか分かんないけどそう思い込んでたの。それでさー力抜けちゃって、何にもできなくなっちゃた。心の力が抜けちゃったみたいで、何カ月もボーッとしてた。親は凄いガッカリした顔してて、なんかその顔見てたら無性に腹立って暴れたりもした。意外でしょ?結構暴れたんだよね。 でも、そんな自分がやっぱり情けなくなっちゃて家でたの。1人で東京に行った。いい子ちゃんの私を誰も知らない所に。楽だったなー、優しくしてくれる男の人とバイト先のファミレスで知り合って結婚しちゃった。」 「え…?」 3人は流石に驚いた表情をした。 「結婚しちゃったの、私。知り合ってすぐ、親にも言わないで。でも3カ月しない内に逃げた。離婚届けおいて逃げた。それから、何やってもすぐ嫌になって逃げてばっかり。 今はね、小さな海苔作ってる会社の事務のバイト。冴えないの、おじさんばかりで丸八海苔のアイドルとか言われて、全然冴えない全然ダメ。つまんない、、つまんないの。 今日琴美が羨ましいって思った、輝いて見えた。今が幸せなんだろうなーって思って。あ、別に変な意味で言ってるんじゃないよ。」 「ううん、ブスだったからね私。でも恵子はそんな風に接しなかった。皆にブスとかそういうのやめなよって言ってくれたことあるよね?」 「それは、優しさなんかじゃないよ。そんな風に言う自分が好きだっただけ。そういう偽善っぽいとこあるの私。」
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