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終は、自分のベットの上で目覚まし時計をじっと見ていた。
「5、4、3、2、1」
そのタイミングで目覚まし時計は鳴りだす。それを手に取り止める。これが終の毎朝の日課だった。
その時、終は決まって幸せそうな顔をする。
[僕は、山崎終。終と書いて’しゅう’と読むふざけた名前だ。21歳、都内の大学。どこの大学?って聞かれるとほとんどの人が知らないというような顔をする大学。この4月で4年生になる。就職のことは言いたくない。察してください。]
終は身支度をし自分の部屋を出た。
[家族は父、母、兄、僕の4人。兄の名は始(はじめ)始と終、明らかにふざけている。]
兄の部屋を開けると積み重なってたガラクタが崩れた。そっとしておこうと閉めたら変な音がしたが終は無視した。
「おはよう。」
「おはようー!」
母の響子はキッチンで朝食を作っていた。終はソファーに父と同じようにスーツを掛けた。
「おはよう。」
父の次男は先に朝食を食べていた。
「早起きだねー、終は若いのに。」
「いいでしょ?別に。」
「普通、若者ってのは朝起きるの嫌なもんなんじゃない?」
「悪い?悪くないでしょ、別に」
「まぁね。」
終は隣をみると父が満面の笑みを浮かべてこっちを見ていた。
「終はお父さんと似てる。」
「似てないよ。」
終は父の方をちらっと見たが即答だった。
「似てる。」
「だから、似てないって。」
再び即答だった。
「だって、若いころからお父さんがそうだったんだもん。自然に目が覚めちゃうのよねー、朝早く。んで目覚まし時計じーっと見て鳴るの見届けるの。なーんか嬉しそうな顔するのよね~鳴ったの止める時。」
父はそうそうと言わんばかりに笑みを浮かべ終を見た。
「始はどっちかっていうと私似かな。ダメーなところがね。」
「あ、そういえば最近兄貴全然帰ってこないけど、何やってんだろ。」
「さぁー、でもなんかいいーじゃない。そういうのって自由で。」
「そう?一体いくつまでフラフラしてるつもりなんだろ。」
「あぁ~、終ホントお父さんに似てる。もう、そっくり!」
「だから、どこが?」
「一言で言うと…」
「ん?」
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