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「ホームレス?」
「うん。上野でさ、なんか公園のおっちゃんと気が合っちゃてしばらく泊めてもらってたんだよね。この帽子もおっちゃんの貰ったの。」
「へぇ~、なんか面白そうだね~。」
「でしょ?世界はさー愛に満ちてるでしょ。」
「うん!」
「あ、なんか眠くなってきた。。」
始が机で寝ようと顔が食器に近づくのと同時に、母は連携プレーのように、食べ物の食器を寝るスペースを作るように引いた。
「幸せ~。」
終は、満員電車の中でクラス会のはがきを取り出しワクワクするかのように笑った。だが、鏡越しから父の視線を感じ取った。
だから、向きを変え父がいる方を背にしたが負けじとはがきを見ようとした。
そして、終が降りる駅になり満員の中なんとか抜け出した。ふと電車の方を見ると父は、終にグーサインをだしていた。
「何がだよ。」
おかまいなしに歩き出した。父の乗っている電車は発車したが、ずっとグーサインを出し続けてた。
終は、バイト先であるラビット運輸に来ていた。終、配達先の名簿を見ていた。
「おはよう、終くん」
「あ、おはようございます。」
話しかけてきたのは、ラビット運輸のマドンナで事務社員の遠山清美だった。
「今日、早く帰りたいんでしょ?近くて軽そうなの回しといたから。」
「あ、ありがとうございます。」
「おい、山崎くん。」
「はい。」
「今日さ、彼と一緒に周ってくんないかな?今日から研修に来た中林君。」
「中林です!よろしくおねがいします。」
終よりは年上だが、さわやかな笑顔で張り切っていた。
「どうも。じゃあ、行きましょうか。」
「はい!じゃあ、行ってきます。」
「おう!嫁、子供の為にがんばれよ。第2の人生のスタートだ!」
「頑張ります!」
「では、行きましょう!」
中林は勝手に歩き出した。」
「あの~、こっちです。」
「あ、こっちです(笑)」
2人はトラックに乗り早速配達先へと向かった。
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