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「いいですか?行きますよ、せーのよいしょ」
「うわー!」
持ちあげたと同時に中林は重かったのか、こけた。
「大丈夫ですか?」
「痛ッ。。」
だが、真っ先に中林が気にしたのは自分ではなく身につけている金の時計だった。その行動に終はため息をついた。
「クラス会。」
「はい、そうなんです。中学の。」
「そう~、へぇ~、クラス会ね~いいね~。」
「はい、行ってみようかな~と思って。」
「うん!行きなさい、行きなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
丸八海苔で事務をしている麻生恵子は今夜のクラス会に行くことをOKしてもらった。
「でも、あれでしょ~、我が、丸八海苔のアイドルの恵子ちゃんは中学でもアイドルだったんでしょ?」
「え?どうかな、そんなことないです。」
「いやいやいや、そうだよ、そうに決まってる。セーラー服だった?」
「いえ、そうじゃないです。」
「学園のアイドルから、丸八海苔のアイドルか~。ずーっとアイドルなんだ、恵子ちゃん!」
恵子は作り笑いをした。
「いいなぁー、その笑顔。」
「癒し系ってやつじゃないですか?」
「そうだね。」
「ハハハハハ!」
2人のおじさんは高らかに笑った。
「ね?宗石君。」
「は?」
おじさん2人とは違ってクールな宗石亨は全く興味無さそうに反応した。一気に場はシーンとなりそれぞれのデスクに戻っていた。
「じゃあ、私そろろろ。」
「あ、そうそう!恵子ちゃんこれ本社さんに届けてくれるかな。FAXでもいいんだけどミス丸八海苔の恵子ちゃんに届けてもらうと向こうが喜ぶんだよね。いい?」
「はい、分かりました。」
笑顔で書類を受け取った。
会社を出た途端一気に顔つきが変わった。
「何が、アイドルだ。何が、ミス丸八海苔よ。」
恵子は会社前に並んであった自転車を思いっきり蹴った。それを物置で見ていた宗石は手にもっていた本を落とした。
恵子は行ってしまったので、ちょっと表に出ると再び倒した自転車を戻しに来た。宗石もとっさに隠れた。
「小さい、、私。」
「へぇ~。」
街中を歩いていると、恵子の携帯が鳴った。母からだった。
「はい・・・・・うん、今は大丈夫だけど。え?あー行くよ。うん、でもクラス会には出席するけど家には帰らないから。・・・え?どうしても、帰りたくないから。じゃあね。」
恵子は携帯をカバンにしまう代わりに、クラス会のはがきを取り出した。
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