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「何かな、佐奈さん」
「……えっと、六人目がいるという事は、この試験で私達の内一人が試験に落ちるという事でよろしいのでしょうか?」
普通ここで聞くとしたら六人目が誰かという事だが、皆、六人目の存在よりも自分がこの入学試験に落ちるかも知れないという恐怖を失くしたかったのだ。だから、この時点で六人目の存在を聞く者はいなく、六人目がいる事すら忘れかけていた。
皆が固唾を飲む中、ユリアナは答える。
「いいえ、別に一人だけが落ちるというのはしないわよ。ただでさえ防衛省には人が少ないんだもの、そんな事はしないわ。でも、全員が落ちる可能性はあるわよ」
その場にいた全員は安堵の直ぐに汗を流した。
この受験は合否関係なく、個人の実力を確かめる物。受験に落ちる事はまずありえない。魔術アカデミーのトップ五位で卒業した瞬間から入学が決められているも同然なのだ。
「今回は特別でね。私が出す課題にたった一人でさえクリア出来なかったら全員入学を認めない事になっているの。もちろん追試もなければ再受験も認められない。入学自体を今年は無かった事にして来年の子を入学させる。今年は六人だからね。戦闘で使えない子をあまり増やしたくないのよ。人数不足で困っているけど、使えない人に助けを借りなくてはいけないぐらい困ってはいないしね」
「そんな……折角、勉強を頑張ったのによ。ここで人生が終わる可能性があるなんて……」
ジョンは肩から地面へと崩れ落ちた。
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