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「ジョン、大丈夫だ。俺がこの場にいる全員を入学させてみせる。そう絶望的な顔をするな」
「うっ……ありがとよ、エース」
泣くジョンに優しく言葉をかけるエースと涙を拭くようにとハンカチを渡すリシェル。
「感動的な所悪いけど、そろそろ試験前の前説とこの世界の歴史についてご教授したいんだけど、進めていいかしら?」
五人全員が首を縦に振る。
了承を確認したユリアナは、日本地図と魔術の始まりから現代に至るまでの暦表を懐から取り出した。その丸まった地図と暦表は魔術により、ユリアナの手元から離れ、空中へと浮くと、自動展開を始める。
……何か忘れている気がするんだけど、まぁ良いかしら。
ユリアナは思い、言葉を作る。
「じゃあ、まずはこの世界の歴史について説明を始めるわね」
すぐさまユリアナは暦表を指差した。
「科学世界の終わりは西暦二五七〇年。自立思考型アンドロイド《ジェオラ》の暴走により、全世界のネットワークが支配され、後に崩壊を始めた」
ユリアナは皆の視線が向く方向に表示枠を出現させると、ジェオラの姿を映した。
「これが世界を崩壊させたジェオラの姿。人間の皮膚や構造を完全に真似て作られているわ。では、何故、暴走が起きたか。それは全ネットワークを支配する事が出来るという知能を持ちながら人間の心や感情を与えた為だと考えられているわ。じゃあ続けるわね」
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