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言って、表示枠を閉じる。
「続いて、ジェオラは衛星核兵器のメインシステムにハッキングを行い、世界の約三分の一を崩壊させた」
目の前に表示枠を開き、未だなお荒れている地上の大地を映像として映し出す。
エース一同はそれから逃げるように目を背けた。ユリアナは、もう少し地上の事についてこの子達に教えてやらないといけないわね、と思いながら言葉を続ける。
「その後、二五八〇年。ジェオラはこの世の全ての科学技術と科学者を殺し、最後に科学技術の塊である自分に衛星核兵器を墜落させ、その身を焦がした。跡形もなく消え去った、と歴史として残されているわ」
ユリアナは一息つくと、再び暦表へと目をやった。
「その二十年後、二六〇〇年。有限な資源がついに絶え、科学技術が衰退していく中、日本の富士山に巨大隕石が衝突した。ネットワークがなくなり、隕石の衝突を予測出来なかった当時の日本は富士山周辺に多大な被害災害を起こした」
ユリアナは面白いように笑みを浮かべ、「でも」と言葉を付けると、
「実質の所、被害は日本沈没にまで及ばなかった。巨大隕石の全長は富士山を覆いつくす程の大きさ。普通に考えれば日本が沈んでも可笑しくはなかったのよ」
疲れたように溜め息をして言葉を続ける。
「そして、衝突した隕石は富士山を完全に破壊し、地面にめり込むようにして約十年近く存在し続けた。まるで、隕石がここに住みつく為に日本を沈ませないよう守ったかのようね」
ユリアナは、解説を続ける中、強大な複雑クレーターが出来た富士山跡地を思い浮かべる。
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