魔術師達と入学試験

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……あの隕石の存在は不思議を通り越して異常だわ。 考え込もうとしていたユリアナは制すように首を横に振ると、言葉を続けた。 「先程、私は《十年近く存在し続けた》と言いました。実は隕石は約十年近く存在し続けた後、巨大な複雑クレーターを残し、突如として消え去ったのです。何故だか分かりますか? エース君」 突然自分に振られたエースは戸惑い、悩むと、 「た、多分ですが……日本と一体になる為に大地と融合でもしたのではないでしょうか?」 ユリアナは縦に頷く。 「おおむね正解で良いと思うわ。実際の所、何故だか分かっていないの。科学が全て滅ぼされていたという理由で調べる術がなかったのよ。じゃあ続けるわね」 言って、ユリアナは日本地図へと目を向けた。 「空中浮遊都市・日本。日本がそう呼ばれるようになったのは隕石消失から約五年後の事だった。二六一五年、五月。沖縄と日本周辺の島々を含まない日本列島が浮上を始めた」 ユリアナは目の前の表示枠に映る地上の荒れた大地の映像を消すと、日本浮上について書かれた新聞記事を映し出した。 「当時に書かれた新聞にはこう書かれているわ。時刻は午前〇時、深夜。約十分間の巨大地震と共に日本は浮上を始め、上空約五千メートル地点に着くと、空中に浮いた状態を保ち続けた、とね。で、それが今の今まで続いているわけ」 ユリアナは咳を零し、ここからが本題とでも言わんばかりに真剣な表情を浮かべた。
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