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「《黒魔術師》そう名称された者達が動き始めたのはそれから十年後の事だった。魔術の使い方に慣れた日本人の反乱から生まれた黒魔術師達は日本に住む外国人を犯行予告と共に虐殺していった」
ユリアナの発する声が鋭いものとなる。
「黒魔術師の虐殺は未だ手が止まる事は無く、やがて対黒魔術防衛省が設立され、防衛省に働くに相応しい人材を雇う為に教導院まで設立された。で、貴方たち五人は対黒魔術防衛省教導院五〇期生になりうる人材という事で基本的な魔術を学ぶ学校の生徒から選出されたという事ね」
疲れたわ、とでも言わんばかりに肩を揉み解し、周囲を見渡す。
ジョンは立ちながら熟睡しており、他の者達は欠伸を我慢したり、目を擦ったりを繰り返していた。
「少し長話が過ぎたかしら。じゃあ、そろそろ試験内容を発表するわね」
横でぐっすりと眠るジョンに呆れて物も言えないエースは、ジョンの花提灯を割ってやる。
体を一瞬ビクつかせ、薄目を開けたジョンは周囲を見渡し、変な声を上げた。
「……うへ?」
「「はぁ、こいつって奴は全く」」
エースとリシェルは、溜め息を吐いた。
「ずいぶんとお休みのようね、ジョン君。立ちながら眠るなんて相当疲れているのか、それとも、器用にどこでも眠れるという特技を持っているのか、という事なのかしら? ねぇ、ジョン君」
ユリアナの笑顔は引き攣っている。
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