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ただ一人を除き、その場にいた一同は煙の立ち昇る屋上を見つめていた。
そのただ一人、アルフ・レイモンドは両足に魔法陣を展開させ空高く跳び上がり、爆発点の近くに降り立つと、
「これぐらいの攻撃が通じる者じゃないだろ、ユリアナ試験官」
煙に向けて言い放つ。
その言葉が言い終わると共に、煙が吹き飛んだ。
煙が吹き飛んだ中心、自身の周囲に風波を作るユリアナは何も無かったかのように無傷で立っていた。
「えぇ、無傷よ。レイモンド君。まさかビル屋上に爆発トラップが仕掛けられていたなんて驚いたわ、でも」
ジョンは、ユリアナに睨みをきかし、言葉を遮った。
「でも、科学技術で作られた物では魔術に敵わない。で、爆発は防御魔術を張っていたおかげで無傷、そうだろユリアナ試験官」
言うと、右手に魔法陣を展開させる。
「二番ドック開錠。ジョイソンM二九四一軽機関銃・改、転送」
開く魔法陣に左手を突っ込んだジョンはゆっくりとその腕を引き戻し、巨大な機関銃を取り出した。
全長が二〇〇〇ミリ程度あり、装弾数百発を可能とした機関銃である。その全長ゆえの重さを持ち合わせているのだが、ジョンは魔術を用いて重量を軽減している。
まもなく、レイモンドは両手で機関銃を携え、ユリアナに銃口を向けた。そして、一息つく間もなく、銃弾が尽きるまで撃ち続けた。
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